合同ゼミ

乳幼児発達論ゼミと発達心理学ゼミとの合同ゼミが4月26日に行われました。

ゼミは「心理学と社会」というテーマで開かれ、心理学の存在意義や社会との結びつきについて、その歴史や実践例を通して考察しました。社会福祉学がご専門の大泉溥先生、臨床心理学がご専門の間宮正幸先生、そして乳幼児発達論博士課程の及川智博さんが話題提供してくださいました。

 

まず、及川さんから教育心理学に対する認識の変化の歴史についてのお話がありました。

戦後から長くにわたって「不毛」とみなされてきた教育心理学が、1970年代ごろからの学校の荒れにともない教師にとって「役に立つ」ものと捉えられるようになったと言います。しかし、教育心理学とは教師の直面する問題を解決するためにあるのか、本来どのようなことを目的とした学問であるのかという問題も提起されていました。

 

続いて、心理学において「生活」に着目することがいかに重要であるかについて間宮先生がお話しくださいました。子どもの「生活の今を問うこと」が子どもの人格的成長の保障という面で重要であると言います。

貧困が子どもの人格的成長を脅かすといった経済的側面のほかに、環境という側面についてもお話しされていたのが非常に印象的でした。あるとき、とある児童の状態の改善は、登校中に通らねばならない学校の前にある坂道がもたらしたものではないかと間宮先生は考えられたそうです。

つまり、教室という空間の外にある通学路などの環境にも注目する必要があるということでした。

 

最後に、大泉先生からより実践的な視点からお話をいただきました。

中規模模寮舎への挑戦を教育実験としてとらえ、これを歴史的に検討するかたちでお話をしていただきました。

寮舎運営のような生活教育的事業では、失敗の経験に内在する教訓を引き出すことが重要であるという言葉が特に頭に残っています。

すべてのことに当てはまることですが、失敗から得られることがあるため、失敗を恐れず物事に取り組みなさいという強いメッセージをいただきました。

 

今回の合同ゼミのテーマは、心理学を学ぼうとしている私にとっては非常に考えさせられるテーマでした。ときには立ち止まり、「心理学と社会」について考える必要があるだろうと感じました。話題提供してくださった大泉先生、間宮先生、及川さん、合同ゼミを企画してくださった先生方、ありがとうございました!